アントニオ猪木さん

また詳しく書く機会もあると思うが35歳の頃交通事故に遭った。相手は北海道夕張市出身の大学生。程なく親からメロンが送られてきた。「こんな高級品どうする?」妻と相談して当時松下病院に入院していた昔の上司のお見舞いに持って行くことにした。

 

その上司(Sさん)、背は高くないが筋骨隆々、松下ギネス大会の重量挙げで3位になったことが自慢。自分より20歳近く若い社員と腕相撲してもビクともしない。正に横綱相撲。

 

マレーシアの関係会社で常務取締役として勤務していたが癌を発症して帰国。私が会うのは数年ぶりだった。

 

病棟の受付で用件を告げると「Sさんは面会謝絶になつています。」えっ、そんなに悪いのか。仕方ないので名前を告げメロンを渡しておいて欲しいと依頼すると「ちょっと待って下さい。本人に聞いてみます。」〜「(私)の名前を言ったら会うと仰っていますのでどうぞ。但し短時間で。」

 

個室のドアをノックして入るとSさんはベッドの上に胡座をかいて迎えてくれた。

「エエッ!」思わず声が出そうになった。あの逞しかったSさん、丸々としてゴルフで日焼けした顔のSさんとはとても同一人物とは思えない。精一杯の笑顔で迎えてくれたのが余計痛々しく感じたが、そんな事表情に出せる訳がない。必死で平静を装ったが気付かれていたに違いない。

 

 

アントニオ猪木さんの近況を報じるテレビ番組を見た。もう78歳だと言う。難病と言う事は少し前に聞いていたが映像で見るのは初めてだ。やはりSさんを見舞った時と同じような衝撃を受けた。背が高いのが大木が枯れているようで余計痛々しい。

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=31894

 

番組中嬉しかったのは馬場さんと袂を分かつてからもふたりは仲が良かったという関係者の証言が聞けたこと。何年ぶりかの対面の場で猪木さんは何と馬場さんに借金を頼んでいたという。そんな事が出来るのが如何にも猪木さんらしいし、恐らく馬場さんはそれを引き受けたのだろう。そんな人間の大きさもまた馬場さんらしい。

 

世間では「挑発する猪木、無視する馬場」という対立の構図を煽ったが、猪木さんとすればそれ以外生き残る道は無かっただろうし、下手をすれば逃げ回っていると取られかねない役割を敢えて馬場さんが演じたのも猪木さんを助けてやろうという親心に似た心情の表れだったのだろう。

 

しかしNHKも変わったものだ。最近は昔のウルトラシリーズなどかつてのNHKなら見向きもしなかったであろうゲテモノ作品を放送している。プロレスも同様だ。

 

いつその事、昔の名勝負、懐かしのレスラーを特集した番組を放送しませんか?

 

上記のURLが参照不可になっている模様。

https://www.rbbtoday.com/article/2021/11/26/194060.html