また東北で地震

今となっては信じられないが、個人情報などうるさいことが言われなかった時代は雑誌などの読者のページに住所や名前、電話番号が普通に載っていた。用件は文通しませんかや、○を探しています、ペットを貰ってくださいなど多種多様。

 

私もSTEREO誌の読者コーナーを使ってコンポの売り買いをしたり、レコード芸術誌で持っているレコードを売ったりした。メルカリやヤフオクが無くてもそれほど困ることは無かったのだ。

 

文通などに興味はあったものの、専ら趣味のものの売買だけに読者コーナーを用いていた私だが、一度だけ同好の士とのやり取りをしたことがある。書籍の名前は忘れたがその本の読者コーナーの一行に目が止まった。

秋ひとみの生写真求む。」

 

前に書いたが、それ程売れていたとは言えなかった秋ひとみさんを生で見る数少ないチャンスがたまに出演していた「霊感ヤマカン第六感」という大阪制作の番組だった。番組内のテロップで○月○日の収録に彼女が出るということを知ると私は少々何があっても朝日放送に駆け付けた。

 

スタジオ内は当然撮影禁止、また客席と出演者との距離も結構あり、けして写真撮影には良い環境ではないのだが(いや、そもそも撮影禁止だろうという声はさておき)、ファン心理とは恐ろしいもの、テレビ局係員の目を盗んで必死でシャッターを切った。

 

だから撮った写真も遠景でしかもピンボケ。こんな写真でいいのだろうか、若干の逡巡はあったが思い切って手紙を書いた。「どんな写真でも歓迎です。」との返答がきた。

 

お礼に、とその方の撮った秋ひとみさんの写真が送られてきた。写りも近さも私のものとは比べ物にならない「良い写真」。それは今でも手元にある。

 

その写真を見ると後ろに「東北ラジオ祭り」とのノボリが見える。秋ひとみさんが東北を訪れた時の写真だ。送ってくれたのは仙台市在住の阿部さんという人だった。

 

その東北をまたも大地震が襲った。一体、何故?と言いたいほどの酷い仕打ち。

 

阿部さんは多分私と同年代、大丈夫だっただろうか。住所は分かっているので引っ越していなければ届くはず。

 

久しぶりに手紙を出してみようか。