私と同年代のサラリーマンが部下とカラオケに行きカーペンターズの歌を歌うと
「なんでこの曲を知ってるのですか?」
と驚かれた。何を言うか、カーペンターズは我々こそがドンピシャ世代だ(と言ったか言わなかったか知らないが)。
私達の中高時代、海外アーティストでよく聞かれていたベストフォーとして
を挙げることに異存のある人は少なくないと思う。(④をよく知らない人は調べて欲しい。聞き覚えのある曲がいくつかある筈だ。)
このうちビートルズとサイモンとガーファンクルは既に解散していたが何と言っても残してくれた名曲の数々の魅力が大きく、現役アーティスト以上に聞かれていた。
ボブ・ディランが来日する。https://www.livenation.co.jp/bobdylan2023
中○時代(旺文社)や高○コース(学研)などが当時の私達の情報源だったがボブ・ディランの説明にはこう書かれていた。
「彼の前ではビートルズやサイモンとガーファンクルも影が薄いと言われる伝説的存在」
ビートルズやサイモンとガーファンクルのグループとして新曲はもう出ない。来日することもない。けれども彼らも霞む存在のボブ・ディランはまだ現役でこれからも新曲は出る。運が良ければコンサートにも行ける。何と幸福なことか!これはレコードを買うしかない。ソニーのGOLD DISC。ベストヒット集なので少しお高めの2200円。今でも多少は二の足を踏む金額だ。いや、もしかしたら今の方がより躊躇する度合いが強いかも知れない。そして、これはほとんどの日本人に共通の感覚ではないか。
同じ金額のものを買うのに50年前より決断力が要るなんて、一体この間日本は何をやって、あるいはやらなくてこうなってしまつたのか。これは考察に値する。またの機会に。
胸をワクワクさせながら針を下ろす。1曲目いきなりもっとも有名な「風に吹かれて」。
え~っ!今でもその時の驚きと落胆は鮮明に覚えている。伴奏はギターとハーモニカのみの至って素朴なもの、ダミ声な上に声量もない、ビートルズのようなメロディに魅力がある訳ではない。ポール・サイモンの詩のように深みと味わいがある訳でもない。これがビートルズやサイモンとガーファンクルも霞むと言われる人の最高傑作か。
そのレコードはとうにない。どう処分したのかも覚えていない。レコード全曲聞いたかすら覚えていない。私とボブ・ディランの関わりはこれが最初で最後になった。でも彼はこの文を書いている途中で50年前と今との購買行動に対して考えるきっかけをくれた。
それだけでも十分に有難い。