忠霊塔

昨日のヒューマニエンスというNHKの番組で温暖化は地球の危機ではなく人類の危機だと東大の先生がしたり顔で言っていた。至極真っ当な話だが、そんなこと50年も前にオーディオ評論家の長岡鉄男氏が言っていた。

 

長岡氏いわく「地球に優しくなんて、こんなおこがましい言葉はない。気温が何度上がろうと、火事が起ころうと地球にとって見たらおできが出来たようなものだ。」

 

長岡氏はこんな事も言っていた。「軍事費を増やすと新聞はじめマスコミは右傾化と騒ぐが世界で1番軍事費を使っているのはソ連や中国などの共産国だ。だからこれからは左傾化と呼ばなければならない。」

 

物事の本質を見抜ける人には難しい理屈など要らないのだ。

 

 

自宅から歩いて10分くらいの所に「忠霊塔」と呼ばれる施設がある。

https://www.asahi-net.or.jp/~UN3K-mn/0815-2wakayama.htm

 

現在は四方にフェンスが張り巡らされ立ち入り厳禁になっている。「殉国英霊の御遺骨を奉安しています。」との説明書きを見ればそれも当然と思うが、実はここ、私たちの小学生時代の格好の遊び場だった。

 

もっともその頃の我々は忠霊塔なんて漢字を知る由もなく、学校帰りに友人と「何時にチューレートー集合な!」とまるでチョコレートの親戚みたいな感覚で呼んでいた。

 

高さ数メートルもある塔そのものがこの上ない遊具、隠れんぼをしたり、銀玉鉄砲で撃ち合いをしたり、夕方暗くなるまで遊んで飽きることがなかった。

 

今思えば英霊に対して何と失礼な!と思われるかも知れないが肝心の英霊ご本人の方々はどのように感じられているだろう。

 

私は朝の散歩で近くを通ると必ず手を合わせるようにしているが、今の忠霊塔はいつ行っても誰もいない。子供だけでなく大人もいない。何か定例的に行事が行われているようにも見えない。

 

人っ子一人寄り付かなくなった今の忠霊塔と毎日のように子供たちの歓声が響き渡っていた昔の忠霊塔、英霊たちはきっと往年の賑やかさを喜んでくれていたに違いない。

 

自分たちの犠牲の元に子供が、国民が元気を取り戻してくれたら、これに勝る供養はない、英霊たちはきっとそう思ってくれているに違いないと固く信じているから。