不愉快な優勝

箕島高校が高校球界屈指の強豪校として全国に勇名を馳せていた1980年の夏、一回戦の対戦相手は東京代表の公立高校だったが、この時のマスコミの扱いが酷かった。今思い出しても腹が立つ。

 

偶々対戦相手の学校が進学校だったこともあり、あるマスコミはこんなことを書いた。

「○高校は毎年国立大学に合格者を出しているが箕島高校はここ何年もひとりも国立大学に入っていない。」

公正中立であるべきマスコミが言うことか。そんなことを言う前に野球留学や金銭の問題、もっと追及するべきネタはあるだろう。

 

箕島高校のある有田市は市とは名ばかりの人口2.5万人の過疎の町。練習施設や環境は当時の公立校の平均レベルにも遠く及ばなかったことは多くの人が証言している。

 

そんな学校が甲子園であれだけの戦績を残した、本来なら大いに称賛されて然るべきところ、何故ここまで蔑ろにされなけれはならなかったのか。

 

1983年ソ連による大韓航空機撃墜事件が発生した時、韓国の国民は「韓国の飛行機だから撃墜されたのだ。アメリカや日本の飛行機だったら狙われていないに違いない。」と嘆き、怒った。韓国国民の怒りは分かる。当時の韓国の国力はあまりに弱かった。一方、日本は日の出の勢いの経済大国。その差は絶望的に大きかった。日本を怒らせるとまずいが韓国など怒らせても怖くない。当時のソ連がそう考えても不思議はない。翻って今はどうだろう?それはさておき。

 

そう、マスコミにとって和歌山など当時のソ連から見た韓国と同じだったのだ。

 

仙台育英、完全アウエー状態の甲子園で敗退。 

https://www.daily.co.jp/baseball/2023/08/23/0016730938.shtml

 

首都圏の名門お坊ちゃま学校、しかも百何年ぶりの優勝となればマスコミの贔屓度合い、注目はいやでも高まる。

 

宮城県仙台市とくれば和歌山とは比較にならない大勢力だ。大韓航空機事件当時の日本並みの強力国だ。でも如何せんマスコミの力が強くなりすぎた、というよりマスコミの中央偏重の姿勢が露骨になりすぎた。

 

もし、地方の高校が久しぶりの決勝に臨んでも、ここまでの大々的にマスコミに取り上げられるだろうか?年配者に巨人ファンが多い一番の原因は昔は巨人の試合しかテレビ放送がなかったからと言われる。素直な国民はそればかり見させられると好きになってしまうのだ。

 

仙台育英にはお気の毒としか言いようがないが、悲しいかなこれが現実だ。