三億円事件

1968年の今日、三億円事件が発生した。私はこの時9歳、さすがに前項のジョン・レノン暗殺事件のように明確に覚えている訳ではない。

 

事件の概要、手口についてはその後も繰り返し語られ、ドラマ化もされているので繰り返さない。

 

今でも法律は変わっていないと思うが給料は原則、現金で支払わなければならず、受け取り側が了承した場合のみ振込でも良いとなっている。私が入社した時の職場でも数は少ないがまだ現金で給料を受け取っている人もいて、人事から「何とか振込にしてもらえないか」と頼みに来ていたことを覚えている。何しろ法律は現金払いを命じているのだからなかなかに苦労していたようだ。

 

植木等さんの名曲「スーダラ節」にもボーナス日に競馬ですっからかんになってしまう悲哀(?)が唄われているが、当時は給料やボーナスを現金で受け取るのが当たり前だったのだろう。そして、その現金輸送車がターゲットになった。

 

今でこそ億という数字を聞いてもさほど驚かなくなったが当時の、まして小学生の子供には途方もないという表現も思い浮かばない金額だった。数字は正確ではないが、この頃ゆうびん貯金の利率が数%、もし5%で1億円預ければ金利だけで年間500万円。失礼ながら当時の父親の年収よりずっと高額だった。

 

この年の出来事を思い浮かべるとメキシコオリンピック川端康成氏のノーベル賞に混じって「飛騨川バス転落事故」という言葉が頭をよぎった。調べてみると間違いなく1968年だった。自分で自分の脳力が怖ろしい。