売上と知名度

コロナ報道は少し考え直したらどうか。毎日のように過去最高、○曜日としては最多、○日連続で前の週を上回る、などと聞かされていると何か陸上や水泳で連日記録が更新されているような錯覚を覚えるのは私だけだろうか。このままでは将来事態が好転して「○日振りに前の週を下回りました」などと聞かされたらガッカリする人が出て来るのではないか。

 

 

私と同年代のおじさんが若い人とカラオケに行き、カーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」を歌ったら「なんでそんな歌知ってるのですか?」と驚かれたと言う。冗談じゃない、我々世代の歌だ。

 

父親が教師生活の終わり頃、松田聖子を知らなくて生徒から笑われたと言っていた。確かに当時60歳近いおじさんでも松田聖子を知らないのは珍しかったのだろう。ピンク・レディーもそうだった。余程のお年寄りを除き、大人から子供まで皆知っていた。曲の2、3も口ずさめたと思う。

 

確かに彼女らは凄まじい人気があった。処が数字で見るとかなり違う局面が見えて来る。最大ヒット曲のUFOの売上は155万枚。一方私が個人的にこの曲あたりから売上と知名度の関係が変わり始めたのではないかと思っている宇多田ヒカルのオートマチックは255万枚。100万枚も多く売れている。だが当時の中高年世代でこの曲を知っていた人は何%居ただろう。

 

最近コマーシャルでもたまに耳にするこの曲

https://youtu.be/VIUBYNcxaJo

 

この曲が流行った当時、私は9歳だったがクラスで知らない者はいなかった筈だ。それでも売上は累計でぎりぎり100万枚。

 

このことは流行歌だけではない。映画もそうだ。「エクソシスト」、「ジョーズ」、「ジュラシック・パーク」、劇場まで見に行かなくても凡そどんな内容か皆知っていた。私もこの3作で実際に映画館で見たのは「エクソシスト」だけだ。

 

今より情報手段も通信手段もはるかに少なかったあの時代、どのようにして内容を聞き知ったのだろう。

 

因みにこの「エクソシスト」、恐怖映画の極地、失神者続出などと大々的に宣伝され、私も見る前はおっかなびっくりだったが、余りの子供だましの内容に苦笑、失笑するしかなかった。

 

そんな私も一緒に見に行った友人も映画館を出た途端、まだ見に行っていないクラスメートに「いやあ、怖かった。あんな怖い映画見に行かないと後悔するで。」

 

とっくに時効だが騙した同級生に改めてお詫びしたい。