当たり前では

先日の東北地震でいくつかの発電所が停止。経産大臣が節電を呼び掛けていた。

「生活に支障のない範囲で節電を。」

言葉の揚げ足を取る訳ではないが、それって当たり前じゃないの?逆に聞くが一般の国民はそんなに無駄に電気を使っているのか。見ていないテレビは切る、使っていない部屋の照明は消す。そんな当たり前の事の出来ていない、そんな奴には給付金など不要だ。

 

日本人はどうもその辺りの感覚が曖昧だ。40年前、ヨーロッパを訪れた時の忘れられない思い出のひとつがウィーンの屋台の土産物店で置物を買った時のこと。店のおじさん、その置物に合わせて定規で包み紙を裁断したのだ。日本で過剰包装はやめましょう、なんて誰の口にも上っていなかった時代のことだ。

 

節電とは関係ないが、私が勤めていた松下電器でもこんな事があった。会社の総務規程というものがあり、出張時の飛行機の乗車クラスについてこう書かれていた。

「基本的に合理的なルートでのエコノミー席とする。但し参事、副理事は必要に応じてビジネスクラス、理事以上についてはファーストクラスに乗ることを許可する。」

 

これを素直に読む限りどこにもビジネスやファーストに乗りなさいとは書いていない。必要があれば乗ってもよいと書いているだけだ。それなのに皆が皆、当該の役職になると乗るのが当然の権利のように乗っていた。自らエコノミーでいいよ、と言った人は私の知る限り一人もいなかった。

 

大会社のお偉いさんがエコノミーに乗る訳にいかんだろう、他所からどう見られるんだという意見もあろう。しかし、考えてほしい。お偉いさんが率先して節約することで余計好感を持ってもらえるのてばないか。出世しても運転手付きの車に乗らず、電車通勤する人に好感を抱かない人がいるたろうか。

 

こんなことを声高に述べる私が煙たがられていたのも無理はない。