ガンバレ実習生

全国チェーンの串カツ店に初めて行ってきた。全国と言っても和歌山にはない。よくあるパターンなので今更嘆く気にもならない。大阪市内は時節柄避けたかったので岸和田店に行った。

 

最初に注文を聞きに来てくれた店員さんから「当店の実習生を担当させてよろしいでしょうか?」と聞かれた。当方に勿論断る理由はない。

 

間もなく先ほどの店員さんが二十歳前後の男性店員を連れてやってきた。東南アジア系の顔立ちに見える。メモを読みながら、

「いらっしゃいませ。当店に来られたことはありますか?」(いや初めてです。)

「飲み放題のドリンクはグラスの交換でさせていただきます。」(はい。)

「お通しの枝豆に300円頂戴しますがよろしいでしょうか。」(はい。)

 

正直言ってたどたどしい日本語だ。ちゃんと注文が通ったか心配な面もある。わざわざ実習生を担当させていいか聞きに来るくらいだから、クレームを言う客もいたのだろう。

 

では、お前はどう思ったのか聞かれたら返答に困る。「彼だって頑張っているのだから。」と言うのはたやすい。でも、どこか上から目線だ。それは私の本意ではない。

 

何か国語もマスターした人が口を揃えて言うのが「一番難しいのは日本語」ということだ。また、その言葉でも一番簡単なのは学校の授業で、次にビジネス会話。一番難しいのは日常会話だという。当たり前だ。どんな話題、どんな名詞が出てくるか分からないのだから。

 

少し前に書いた「韓国のスナック」でも独身時代に日本で行った「フィリピンパブ」でも彼女らの日本語の達者さには驚かされた。一番難しい日本語の、一番難しい日常会話に於いてである。

 

私達は反省しなければならない。学校で、また人によっては社会人になっても、あれだけ時間をかけて学んだ英語ひとつ、ろくにマスターできていないことを。

 

入社した頃会社の先輩から聞いた話だが戦時中、米兵の一部にカンヅメで日本語の徹底教育を施したら、ほぼ一ヶ月で不自由なく読み書き出来るようになったという。私達は何をやってきたのだろう。

 

あの実習生も次行った時は見違えるほど日本語が上達していることだろう。

 

ガンバレ実習生!